iOS18の新機能 VoiceOverの声のカスタマイズ

 iOS18で追加された新機能をご紹介しています。
今回は、iOS18で新しくなったVoiceOverの声のカスタマイズ機能をご紹介します。

 iOS18では、VoiceOverの声をカスタマイズできるようになりました。
例えば、声を高くしたり低くしたり、イコライザーを使って補聴器のフィッティングのように低音域を強調したり、高音域を強調したりなどできます。
難聴の方で高い音は聞き取りにくいけど低い音は聞きやすいなどというようなことがありますが、ここで声を調整するともしかするとこれまで聞き取りにくかったVoiceOverの音声を聞き取りやすく調整できるかもしれません。

 設定方法は、

設定 → アクセシビリティ → VoiceOver → 読み上げを開き、変更したい声を実行します。

○ 声の高低

 ここで上下にスワイプすると声の高さを設定できます。上にスワイプすると声が高くなり、下にスワイプすると声が低くなります。

○ イコライザ

 ここを実行します。

  • 超低域
  • 低域
  • 中域
  • 高域

 それぞれ「調整可能」と読み上げるところで上下にスワイプすると調整できます。
上にスワイプすると該当の周波数領域が強調され、下にスワイプすると該当の周波数領域の音が聞こえにくくなります。
 イコライザを設定したら、画面左上の「戻る」ボタンで戻ってください。

 あれこれいじってしまって、変な声になってしまい、逆に聞きにくくなってしまった場合は、「すべての声の変更をデフォルトに戻す」ボタンを押すと元の声に戻すことができますから、安心していろいろ触ってみて是非自分の聞きやすい設定に調整してみてください。

 また、iOS18から新しく追加された音声もあります。
それらの声も聞いてみてください。

 今回は、VoiceOverの声のカスタマイズ機能をご紹介しました。

iOS18の触覚機能

まだまだ不具合のあるiOS18ですが、今回から少しずつiOS18の新機能をご紹介していきたいと思います。
今回は新しく搭載された触覚機能をご紹介します。

1. ミュージックの触覚

聴覚に障害のある人が音楽を体験できる新たな機能が加わりました。
音楽を再生すると、音楽に合わせてiPhoneが振動するという機能です。
現在アップルミュージックカタログ内の数百万曲がこのミュージックの触覚機能に対応しています。
ホーム画面の【設定】 → 【アクセシビリティ】を開き、聴覚サポートの項目に【ミュージックの触覚】というところがありますので、ここに入り、ミュージックの触覚を【オン】にします。
すると、【サンプルの再生】というボタンがありますので、これを実行することで、実際にミュージックの触覚を体験することができます。

ところで、先日ちょうどタイミングよくアップルミュージック3か月無料体験のオファーが送られてきたので登録してみました。
今のところ再生した曲は全部ミュージックの触覚に対応していました。
これはなかなか楽しい機能ですね。
今のところアップルミュージックアプリのみの対応なのですが、APIが公開されているので、今後他の音楽アプリも対応してくれるといいなあと思っているところです。
例えば、カラオケアプリがこのミュージックの触覚に対応してくれれば、聴覚障碍者や難聴者がこの振動を頼りにカラオケに合わせて歌うなんてことも可能になるかもしれません。
なかなか斬新でおもしろい機能です。

2. VoiceOverがオンになると振動する

ものすご~く地味な機能ですが、VoiceOverがオンになると、ブンと振動するようになりました。
iPhoneと点字ディスプレイと繋いで使っている盲ろう者が何らかの理由で繋がらなくなると、今どんな状態にあるか分からなくなってしまいます。
そんなとき、とりあえずホームボタンやサイドボタンをトリプルクリックでVoiceOverをオン/オフしてVoiceOverを一旦オフにして再びオンにすると、点字ディスプレイとの再接続を試みます。
ただ、この再接続に少し時間がかかることがあり、VoiceOverがオンになっているのに気づかずにオフにしてしまうということがあります。
そんなときに、振動でVoiceOverのオンを振動で通知してくれるようになりましたので、確実にオンになったことを見分けることができるのではないかと思います。
とっても地味な改良ですが、盲ろう者にとって使いやすくなったと思います。

以上、今回はiOS18の触覚機能についてお届けいたしました。

iOSで点字テーブルを追加して切り替える方法

iOS17から新しく追加された日本語NBSCテーブルを利用する手順を記します。
他の点字テーブルも同じように追加できます。

 まず、ローターに点字テーブルを設定します。

設定 -> アクセシビリティ->VoiceOver -> ローター-> ローター項目を開き、点字表を選択状態にします。

 次に、日本語NBSCテーブルを追加します。

設定 -> アクセシビリティ->VoiceOver -> 点字 ->点字表を開きます。

現在追加されている点字表が表示されていますので、「点字表を追加」を実行します。

いろんな言語がありますので「日本語」を実行します。

ここに「NBSC 見出し」とありますので、ここにある「日本語」を実行して追加します。

 以上で準備完了です。

ローターで「点字表」を選択し、上下スワイプで「日本語NBSC」に切り替えてください。

記号類が点字表示できるようになったり、入力もアットマークなどの記号類の入力ができるようになります。

 ちなみに、この日本語NBSCテーブルは、某日本で開発された点訳エンジンが採用されているようです。

iOS機器と点字ディスプレイを接続する手順

iOS機器と点字ディスプレイを接続する手順を記します。

まず、対応している点字ディスプレイですが、国内のものでは、KGS社のBMスマート16及び40(ただし40は少し不具合があります)、及びBMスマートエアー16と3です。
以前はBMポケットも接続できたので可能かもしれませんが、最近確認しておりません。

日本テレソフトの清華シリーズは、製品カタログにiPhoneと接続できることが明記されていますので接続可能です。

海外製の点字ディスプレイの多くはiOSとの接続に対応しております。
例えば、エクストラが輸入販売しているブレイルセンスシリーズ、Focus Blue、アメディアが輸入販売しているオービット20など対応しております。

私の手元には、ブレイルセンスとBMスマート16及び40しかありませんのでとりあえずこれでご説明しますが、基本的な手順はどれも同じだと思います。

まず、点字ディスプレイの電源を入れ、スクリーンリーダーからの操作を受け付ける状態にしておきます。
ブレイルセンスシリーズであれば、ユーティリティメニューのスクリーンリーダーターミナルを起動し、bluetoothからの接続を受け付ける状態にします。
次に、iOS機器側を操作します。
設定 ->> アクセシビリティ ->> VoiceOver ->> 点字の順に進みます。
点字関連のさまざまな設定が表示されていますが、画面下の方の「点字ディスプレイを選択」と言うところに、現在近くにある機種がbluetoothの検索機能によって表示されているはずですので、それをダブルタップします。
機種によってはここでPINコードの入力を求めてくる場合がありますので、必要に応じて入力して「ペアリング」ボタンをダブルタップします。

以上で接続完了です。
うまく行くとVoiceOverが読み上げている内容が点字ディスプレに表示されます。

対応した機種をお持ちの方はぜひお試しいただければ幸いです。

iOS17で日本語点字機能が大幅に改善

 本日iOS17がリリースされました。
iOS17にはさまざまな新機能が搭載されましたが、我々日本の点字ユーザーにとってとてもうれしい情報があります。

 iOSには点字ディスプレイと接続して、画面に表示された内容を点字に表示したり、点字ディスプレイ上のキーボードからiPhoneに文字を入力する機能が備わっています。
しかしながら、これまでのiOSの日本語点字表示は日本語の点字の書き方の規則に従っていないため、その点字は非常に読みにくいものでした。
また、入力においては、点字ディスプレイ上からの点字入力動作が不安定で、漢字変換が行えなかったり、日本語文中に英数字を入力することができなかったり、また目的の位置に文字を入力することが困難など、多くの課題を抱えていました。
そのため、これまで日本のiPhoneユーザーで点字を使うユーザーはほとんどいなかったのではないかと思います。
しかし、そのことが、特に視覚と聴覚両方に障害がある盲ろう者が点字ディスプレイを用いてiOS機器を利用することは事実上不可能な状況におかれていました。

 この状況を何とか改善できないものかと考え、我々は融資を集い、2019年に「iOSの日本語点字問題を改善する全国集会」を結成し、日本語点字問題を検証し、それに基づき要望書の作成、さらにはそれを英文に翻訳を行い、アップル社に提出する活動を始めました。
 さらに、要望書を提出するだけでは、盲ろう者の置かれている困難な状況を理解していただけないと考え、2020年7月31日、及び2021年11月17日の2回にわたり、米アップル本社、及び日本支社に対してオンラインによる懇談を行い、日本語点字の入出力を改善していただけるよう申し入れを行いました。

 しかし、2021年にiOS15、2022年にiOS16がリリースされましたが、残念ながら実用的に利用できるレベルまでの改善は見られませんでした。
やはり、日本のVoiceOverユーザーで、しかも点字という、ごく少数の意見など聞いてもらえないのだ…
ほとんどあきらめモードになっていました。

 ところが、本日リリースされたiOS17では、日本語点字入出力が大幅に改善されていました。
 また、日本語点字テーブルに、新たに「日本語NBSCテーブル」という新しい点字テーブルが追加されています。
この点字テーブルを使用すると、Windows のスクリーンリーダーのような正確な点字が表示されます。
私は、この点字出力を用いて、Kindle書籍の読書など試してみましたが、とても快適に点字による読書を楽しむことができました。
また、入力においても、点字ディスプレイ上のキーボードを用いて漢字かな交じり文の日本語の入力、また日本文中に英数字の入力を行ったりできるようになっています。

 まだまだ改善していただかなければならない部分はありますが、アップル社が日本語点字入出力の改善に向けて取り組んでくれていることは、日本の点字ユーザーにとって朗報といえます。
今回の日本語点字機能は、iOS機器のみならず、iPadOS、MacOS、それからこれから登場するといわれているApple Vision Pro など、ほとんどのアップル製品に組み込まれるものと思われます。
このような機器が盲ろう者が利用できれば、外部との連絡、情報の入手、学習、就労など、多くの可能性がもたらされるものと期待されます。

 iOS対応の点字ディスプレイをお持ちの方は、是非1度お試しいただければ幸いです。
そして、お気づきの点などありましたら是非ご意見をお寄せください。
1人でも多くの方の意見が寄せられれば、それだけよいものになっていくと思いますので、ご協力をよろしくお願いいたします。