2月14日にに、富山市消防局で開催された、『Net119緊急通報システム』登録説明会に参加してきました。
『Net119緊急通報システム』とは
Net119緊急通報システム | 住民への災害情報伝達手段 | 総務省消防庁
上記総務省のサイトによると、下記のように書かれています。
Net119緊急通報システムは、音声による119番通報が困難な聴覚・言語機能障害者が円滑に消防への通報を行えるようにするシステムです。
スマートフォンなどから通報用Webサイトにアクセスして、消防本部が消防隊や救急隊をどこに出動させるべきかを判断するために必要な「救急」「火事」の別と、通報者の位置情報を入力すれば、即座に消防本部に通報が繋がり、その後にテキストチャットで詳細を確認する仕組みとなっています。
つまり、通常は電話を使って音声で119番通報しますが、聴覚や言語に障害のある人は電話による通報を行うことができません。
そこで、スマホやタブレットを使って、文字で119番通報できるようにするためのシステムです。
富山市では今年4月からこのシステムの運用が開始されることになり、利用対象者向けの事前登録説明会が開催されました。
そこで、盲ろう者が、スマホと点字ディスプレイを使って このシステムを利用できるかを試してみたいと思いました。
ちなみに、事前に全国盲ろう者協会に、総務省からこのシステムに関する何らかの連絡がきているか確認したところ、なにも聞いていないとのことでした。
つまり、盲ろう者の利用は想定していないのではないかと思われます。
他の県で既に運用が開催されている地域があるようですが、登録しているという話は聞いていません。
こうなったら、自分で確かめてみるしかない!
と思って、行ってくることにしました。
『Net119緊急通報システム』の利用方法
このステムを利用するには、事前に利用登録が必要です。
また、スマホやタブレットを使ってインターネットにアクセスできる環境が必要です。
利用登録が完了すると、自分専用のURLが贈られてきます。
そのURLにウェブブラウザを使ってアクセスして通報の操作を行います。
自分の現在地はGPSを使って位置情報が通報されます。
もちろん、GPSですから多少誤差が生じます。
画面が見えていれば地図上から自分のいる位置を指定することもできるようです。
推奨環境は、
iPhoneやiPadの場合はSafari、
Androidの場合はChrome
とのことです。
実際に利用してみる
説明会では、まず最初に、このシステムを開発している、株式会社ドーンの方から、システムの概要や操作方法について説明がありました。
ちなみに、このシステムを開発している会社は他にもあり、地域によって異なるようです。
しかし、國でガイドラインを定めているとのことです。
富山市では上記の会社のシステムを導入するようです。
そのあと、いよいよ実際に登録して、通報の操作を行ってみることになりました。
練習する項目があり、そこで通報の練習が行えるようになっています。
練習なので実際に通報されてしまう心配はありません。
練習のつもりが、間違って通報してしまった場合、必ず「間違えました」とチャットでメッセージを送ってから終了するようにとのことです。
最初は、iPhoneとブレイルセンスの組み合わせで試してみることにしました。
自分的にはこれが一番使い慣れているからです。
さて、登録が完了し、登録完了のメールが届きました。
そのメール内に書かれているURLを開きます。
すると、位置情報を許可するかと警告が表示されるので許可します。
ここまでは問題なく行えました。
画面には
・ 緊急
・ 火事
・ その他
から選べるようになっています。
ところが、ボイスオーバーではそのボタンを認識してくれませんでした。
左右スワイプで移動すると、フォーカスが当たりません。
また、その部分をタッチしてもそこにカーソルが移動しないようです。
試しに、ボイスオーバーをオフにしてタップすると動きました。
どうやら画像アイコンになっていて、代替テキストが付けられておらず、スクリーンリーダーが認識しないのではないかと思います。
また「次へ」などのボタンは読みますし、ダブルタップで実行することもできるのですが、ボタンとしては認識していません。
また、ふりがなが付いているようで、漢字の部分とふりがなの部分を二重読みします。
「きんきゅうつうほう 緊急通報をおこ行 な います
もしものときにそな 備 え えましょう」
というような感じです。
自宅に帰ってから、アンドロイドの端末で、TalkbackとChrome、そしてBMスマートターミナルの組み合わせでも試しましたが、やはりボタンを認識してくれませんでした。
どうも、この通報を行うためのウェブが、アクセシブルな作りではないような感じがしました。
会社の人の話によると、國からはスクリーンリーダーでの利用については、特に指示がなかったとのことです。
國がガイドラインを定めているのでしたら、ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドラインに沿った設計にしていただきたいです。
一応、会社に持ち帰って、対応できるか検討するといってくださったので、参加した会はあったと思っています。
緊急通報は、盲ろう者にとっても重要な課題です。
たとえ聞こえる視覚障害者でも、風邪で声が出なくなったりなど、電話ができなくなることもあるかもしれません。
ですから、誰もが、どのような上京にあっても利用できるシステムにしていただきたいと思いました。