昨日は、いよいよ人工内耳の音入れをしました。
ブログで宣言してしまいましたので、その日のうちに書きたかったのですが、人工内耳から聞こえてきた音は、想像を絶するほどあまりにも衝撃的すぎて、その日のうちに書くことができませんでした。
12月13日午後、病院に向かいました。
手術をして初めての外出です。
まだめまいの症状があり、常に周りがぐるぐる回っているような気がします。
手術をした側の耳も聞こえません。
特に、白杖で一人歩きすると、まっすぐ歩くことがとても困難です。
階段も手すりを使わないと転びそうになります。
さて、いよいよスピーチプロセッサーを付けて、音入れという段階になりました。
側頭部にスピーチプロセッサーを取り付けます。
スピーチプロセッサーって耳に入れるんじゃないんですね。
音を聞く道具だから耳の穴に入れるのかと思ってました。
そのスピーチプロセッサーを病院のコンピュータに接続します。
言語聴覚士の先生が「なにか聞こえますか?」といわれます。
なにも聞こえません!
「聞こえたら教えてください」といわれます。
でも、なにも聞こえません。
聞こえるのは耳鳴りだけです!
そんなことを繰り返していたところ、突然…
「ぼよーーーーーーん」
なにかシンセサイザーのような音がしました!
うわああびっくりした!
でも音が聞こえました。
そのあと、また調整を繰り返していきます。
「私の声が聞こえますか?」といわれます。
声なんか聞こえません。
というか、また耳鳴りしか聞こえなくなっちゃったような…?
でも、集中すると、なにか音がなっているような感じがします。
最初耳鳴りかと思ったんです。
でも、よーく聞いてみるとなんか違う感じがする?
ボコボコボコボコ ジージー
あ、なんかなってるみたい。
これいったい何の音?
なんかのテスト音かな?
最初人工内耳からなにか適当に音を出してテストしているのだろうと思いました。
でも、よーく聞いてみると、どうも様子が変です。
それというのも、補聴器の耳で聞こえる音に合わせて、人工内耳からもボコボコと聞こえるような気がします。
も、もしや!
これが人工内耳から聞こえる声なのか?!
よく聞いてみると、どうやらそのようです。
周りの声が、人工内耳から、ボコボコという音に聞こえているのです。
環境音なのか、声なのかの判別も付かないような音です。
私は最初、人工内耳から聞こえる声は、機械的な音声とか宇宙人の声だといわれるので、パソコンの合成音声のような声がするのかと思っていました。
例えば、30年ぐらい前に視覚障害者が使っていた、パソコンの音声合成装置のような、そんな声を想像していました。
そんな声なら、昔聞いていたから、変な声でも、せめて言葉ぐらい聞き取れるだろうと、高をくくっていました。
しかし、現実に人工内耳から聞こえてきた声は、なにをいっているのかはもとより、それが人の声ともまったく判別が付かないのです。
それはあまりにも衝撃的な出来事でした。
人工内耳ってこんな音がするもんなんですね。
体験して初めて知りました。
さて、人工内耳から音が聞こえてきたということで、補聴器を外して人工内耳だけで聞き取ってみました。
言語聴覚士の先生の声を聞き取ろうとするのですが、ボコボコと聞こえるだけで、もちろんなにを言っているのかさっぱりわかりません。
それでも、集中すると、かすかに「人工内耳」という単語や、自分の名前を呼ばれているのが聞き取れました。
先生は、
「スタートとしては上出来です」
とおっしゃいました。
これを毎日聞いていれば、少しずつ脳が慣れてきて、言葉としてわかるようになるといわれました。
でも、今の自分には、信じられないというのが正直な感想です。
どうも、低い音は「ボコボコ」、高い音は「ジュージュー」としか聞こえません。ほとんどの音は「ボコボコ」と聞こえます。
「ボコボコボコボコボコボコ ジュージュー ボコボコボコボコ」
こんな感じの聞こえ方です。
もちろん、声の質やアクセントなんてまったくわかりません。
このあとは、人工内耳の取り扱い方についての説明を聞きました。
人工内耳の音があまりにも衝撃的だったこと、
診察時間が長かったことなどもあって、その日は帰ったら疲れて寝てしまいました。
音入れ初日は、そんな感じで終わりました。
こんなのでほんとうに聞こえるようになるのだろうか?
今は信じられません。
でも、がんばる!