人工内耳をしてもまともな音が聞こえるとは思えませんでした。ですから、人工内耳はもし聞こえなくなってしまったときに考えよう。そう決めていました。
ところが、今年の2月中頃、私が会長を務めている富山盲ろう者友の会のメーリングリストに、事務局員が、「耳鼻科に行ったら「耳の日」相談会・市民公開講座のポスターが貼ってあった」といって、その相談会の案内を載せていました。3月3日が耳の日(3 3でみみの語呂合わせ)に因んで、毎年行われているイベントのようです。なんとなく聞いたことはあったのですが、そんな相談会行ったところでもうどうにもならないし、興味もなかったので行こうとは思わなかったのですが、今回はちょっと暇だったし、どんなイベントかみてくるだけでもみてこようかと思って出かけてみることにしました。
会場に着いてみると、なんか問診票みたいのを書かされたのですが、特に相談することもなかったので、というか、相談したところで耳が治るわけでもなし、面倒やなあと思いながら、仕方なく適当に書いておくことにしました。
で、適当に書いたとはいえ、そんなものを書いたからには、相談の場になるわけです。
そして、そこで相談の担当をされていた耳鼻科の先生が、なんと以前大学病院でみてもらっていた先生だったのです!聴覚障害の障害者手帳を取得したときも、その先生に診断書を書いてもらっていました。
しかし、大学病院は遠いし、長いこと待たされるし、耳垢がつまったとかちょっとした症状であれば故人の耳鼻科でもみてもらえるので、ここ数年大学病院には行っていませんでした。
実は、その先生が人工内耳も担当されていることは聞いて知っていました。というのも、これも10年ほど前のことになるのですが、母親が大学病院の待合室に貼ってあった人工内耳のポスターを見つけて、これはどういうものかと質問したことがあったからです。そのときに、人工内耳の実物を見せてもらったり、DVDをいただいたりして、人工内耳も担当していると話されていたのを覚えています。ただ、そのときも、まだ聞こえるので人工内耳は必要ないといわれたと思います。ですから、人工内耳の話はそれで終わりになりました。
さて、相談会で先生からもお話を伺いましたが、やはり
「今補聴器で聞こえているのであれば人工内耳をお考えいただかなくてよいと思います」
とおっしゃいました。
しかし、その一方で
「現在よりも聞こえを改善しようと思えば、現代医学では人工内耳しか選択肢がありません」
ともいわれました。
何でも聞いてかまわないといわれたので、一番気になっていた内耳再生医療の可能性についてもうかがってみました。
その先生のお話では、内耳は骨で囲まれているので一番難しい期間だそうです。おそらく、あと10年でも厳しいだろう、とおっしゃいました。
それと、もう一つ、興味深い話をされました。最近遺伝子解析をすることによって、難聴の現員を特定することができるそうです。ただ、現在わかっている難聴の遺伝子は154(だったかな?)で、これは全体の約半分ぐらいだけれど、遺伝子解析をすることによって、難聴の現員や、人工内耳の効果を予測できるかもしれない。そして、もしかすると目が見えないことの関連性についても明らかになるかもしれない、というお話しをされました。これは、私が見てもらっていた10年前にはなかった検査で、最近可能になったそうです。
へー。そんなすごいことができるんだ。これはおもしろそうだ。試しに遺伝子解析してもらおうかな。
と、ちょっと興味を持ちました。
そして、病院に行けば検査してくれるといわれるので、後日、病院に行って、その遺伝子検査をしてもらいました。
詳細についてはここには書きませんが、それから2ヶ月ごとぐらいに病院に通いました。そして、人工内耳の適性検査、例えば、聴力検査、MRIで内耳に人工内耳を入れるスペースがあるかを調べる検査、平衡機能検など、いろいろな検査を受けました。そしてその結果、人工内耳が適用になることがわかりました。
あとは、人工内耳を入れるかどうか、自分が決断するだけという段階になりました。
どうしようか、と考えました。先生も別に慌てなくてかまわない、1年や2年先でもかまわない、とおっしゃいました。
内耳再生医療はあと10年でもきびしいといわれます。確かに、研究のニュースは時々流れていますが、実用化される見込みという話はまだ聞きません。
このままいつ実用化されるかわからない内耳再生医療を待ち続けるのかか?自分の年齢的にも、そう長くは待っていられないような気がする。
そこで、ふと気になったことがあります。
それは、人工内耳を入れてしまったら、将来内耳再生医療が実用化された場合、その寮を受けることができるのだろうか?という疑問です。
それを、先生にうかがってみました。
その結果は…
この続きはCMのあと!
ではなくて、また次回に(笑)