ピンディスプレイでのwindowsスクリーンリーダー比較

 ここでは点字ピン・ディスプレイを利用した場合の、Windows画面読み上げソフトウェア(スクリーンリーダー)の機能比較をしてみたいと思います。



点字ピン・ディスプレイとは?

 点字ピン・ディスプレイというものを知らない方のために少しだけ説明しておきます。
 点字ピン・ディスプレイというのは、ピンを電気的に上げ下げすることによって、点字を表示する機械のことです。略して「ピンディスプレイ」とか、単に「ピン」などと呼ぶこともあります。
 多くの視覚障害者は音声を頼りにパソコンを操作していますが、職場などで静かな環境で作業しなければならない場合や、点字で画面の内容を確認したい場合などに使用します。また、盲聾(視覚と聴覚の両方に障害のある方)がパソコンを操作するのにも大変役立ちます。

Windows用スクリーンリーダーにおける使用比較

 ここでは私が実際にピンディスプレイと各スクリーンリーダーとの組み合わせで使用して感じたことを書かせていただきたいと思います。
 私が使ってみたスクリーンリーダーは下記の通りです。
 なお使用したピンディスプレイの機種は、スクリーンリーダーにより異なりますので、その都度列記します。

XP Reader

 XP Readrでは、KGS社製の「ブレイルノート40A」、「ブレイルノート46C」で使用してみました。
 IMEでの漢字変換時の点字の表現や、スタートメニューの表現が分かりやすいと思います。「アンダーラインカーソルを使用する」にしておくと、IMEでの漢字変換時、現在変換対象になっている部分をアンダーラインで表現してくれますので、どこが変換対象なのかがすぐに分かります。
 一方欠点としては、ダイアログボックスの情報が全て点字で出ないため、Windowsアプリのインストールや設定などが点字だけでは行えません。例えば2000Reader自身も設定をダイアログボックスで行うようになっていますが、音声では「速度のエディット 5」というにもかかわらず点字では単に「5」としか表示してくれないため、どこの項目が「5」なのかさっぱり分かりません。
 またピンディスプレイ上から行える操作は、左右の文字のパンニングと、リストビューなどでの上下の矢印操作のみです。ピンディスプレイ上のタッチカーソルなどによるカーソル移動は対応していません。
 XP Readerからインターネットエクスプローラ(IE)の読み上げに対応しましたので、Webお読み上げも問題なく行えるようになりました。
 ところでこれは私のところだけかもしれませんが、2000Readerに大量に読み上げデータが送られると、システムが落ちてしまう現象が起きています。特にMMメールでメールを開いたときや、テキストエディターでたくさんの文章を選択したとき、クリップボードの自動読みがONの状態でクリップボードニたくさんのデータをコピーしたさいなどに発生することがあります。
 点訳ですが、まぁまぁといった感じです。分かち書きは比較的綺麗ですが、読み誤りが多いように感じます。一応辞書登録機能がありますのでこれを使えば修正することは可能です。

PC-Talker

 PC-Talkerは、KGS社製の「ブレイルノート40A、」「ブレイルメモ(BM16)」、「ブレイルノート46C」にて動作確認をしました。
 PC-Talkerは、漢点字(8点)や6点漢字での出力が可能という特徴があります。ただし製品は別になっているようで、購入時なにも指定しないと6点漢字対応のものが送られてきますので、漢点字を使用されたい方は確認してから購入する必要があります。
 またかな点字での出力も可能ですが、かな点字出力には別途「EEXTRA」「Ibuki-TEN」という、漢字かな混じりの文章を自動的に点字に変換するための点訳ソフトが必要です。かな点字はこれらのソフトにまかされますので、点訳精度は点訳ソフトに依存します。
 PC-Talkerの最新モジュールでは、漢字の詳細読みもピンディスプレイに出力できるようになったようです。
 それからPC-Talkerは音声で読み上げた内容をそのまま点字出力しています。そのためか、音声をOFFにすると点字も出なくなってしまうという欠点があります。
 また点字でパソコンを使用する場合、単に音声で読み上げるのと同じ情報を点字で出しただけでは不充分です。点字ではカーソルのある位置をアンダーラインで示したり、タッチカーソルによるカーソル移動があると便利です。この点PC-Talkerはちょっと使いにくいという感じがします。さらにその割には、音声で読み上げている肝心な部分が点字で出力されない部分もあります。
 それでPC-Talkerでのピンディスプレイからの操作ですが、左右のパンニングの操作、過去に表示した内容を戻って読むことのできる履歴機能があります。
 なおブレイルメモやブレイルノート46のXの場合は、付属の「BMFEP」というソフトを利用することにより、ブレイルメモ側からパソコンの操作もある程度可能です。ただ私がやりたかったPC-TalkerでのIE読み上げ機能である、Ctrlキーを押しながら上下の矢印キーを押すなどといった操作はブレイルメモ側からは働かないようです。

JAWS

 JAWSでは、KGS社製の「ブレイルメモ(BM16)」、「ブレイルノート46C」で動作確認をしました。
 JAWSのピンディスプレイ機能はとても強力です。画面の表示内容をそのまま点字で確認ができる「画面の表示モード」、JAWSが点字に特化した形での出力を行う「構造化モード」、音声で読み上げる内容ををそのまま点字で出力を行う「音声の表示モード」という三つのモードがあり、必要に応じて切り替えて使うことができます。
 またタッチカーソルにも対応しており、これを利用してカーソル移動を行ったり、マウスのボタンをクリックするなどといった操作も可能です。アルバのサテライト544を使った感じでは、ピンディスプレイ側からのキー操作のみで、文字入力以外のほとんどのWindows操作が可能でした。
 ところで、JAWSに元から付属の点訳エンジンでは、特に記号類の点訳制度があまりよくなかったり、タッチカーソルが単語単位でしか働かないなどの欠点があります。
 そこでJAWS4.5では、点訳エンジンをEXTRAの点訳エンジンを利用して出力するためのプログラム「EXTRA Bridge for JAWS」が、有限会社エクストラソフトのサイトからダウンロードできます。これを利用するには、「EXTRA自動点訳エンジン Ver2.0」以上が必要です。詳しくは、こちらの(有)エクストラソフトのページをご覧ください。
 さてJAWSの欠点ですが、IMEでの詳細読みの出力は可能なのですが、これは音声の表示モードのものを利用しています。ですから点字の表現として不適切な部分が多くあります。例えばカタカナで「テープレコーダー」と書いて変換すると「ぜんかくかたかなて ちょーおん ぷ れ こ ちょーおん だ ちょーおん」などと表示されるのでとても読みづらく感じます。
 また他のスクリーンリーダーに比べてピンディスプレイの反応がやや鈍く感じます。例えば画面がなかなか表示されない、キーを押しても音声の反応が鈍いのと同じで、ピンディスプレイの反応が鈍いとそれだけ作業にストレスを感じるものです。

WinVoice

 WinVoiceは、KGS社製の「ブレイルメモ(BM16)」、「ブレイルノート46C」で動作確認を行いました。

 このソフトは2000Readerのソースコードをもとに、ニューブレイルシステム株式会社の点字出力技術を搭載したもので、特に点字ピン・ディスプレイ出力に充填をおかれて開発されたものです。

 このことからも分かるように、

というのがコンセプトになっています。

 実際の使用感もなかなかよく、音声で確認できる項目のほとんど全ての項目を点字でも確認できます。もちろん、詳細読みも出力されますので、音声がなくても文書作製が可能です。また、点字ピン・ディスプレイの反応も軽快で、快適です。

 さらにWinVoiceには95Readerエミュレート機能があるのですが、これを利用して音声出力された内容も点字で読むことができます。ただしこの場合は音声出力されたものをそのまま点字ピン・ディスプレイに出力していますので、タッチカーソルなどの機能は使えません。WinVoiceには点字出力用のAPIが用意されているようですので、今後これを利用したアプリケーションが増えてくれれば、もっと使いやすいものになるのではないかと思います。

欠点としては、ダイアログの操作において時々点字出力されない項目があることでしょうか。あとはスクリーンリーダーとしての機能が少し貧弱で、他のスクリーンリーダーではなんとか使えるのに、WinVoiceでは上手く読んでくれないソフトがあったりします。

終わりに

 一口にピンディスプレイ機能といってもなかなか奥が深いもので、ここで各スクリーンリーダーの機能を全部紹介するのには無理があります。
 音声もいいかもしれませんが、やはり視覚障害者にとっての文字は「点字」です。点字を使えば資料を読みながら話をしたり、電話をしながらメモを取ったりできます。もう少し点字のよさも見なおされてもいいかと思うのですがいかがでしょうか。


付録1:点字ピン・ディスプレイの各機能におけるスクリーンリーダー対応表

機能名 2000Reader PC-Talker JAWS WinVoice
仮名点字表示 対応 対応[*1] 対応 対応
詳細読み表示 対応 対応 対応 対応
点漢字表示 未対応 対応[*2] 未対応 対応
2級英語 未対応 未対応 対応 対応
情報処理点字 未対応 未対応 未対応[*3] 対応
記号類 読みにくい 点訳エンジンに遺存 読みにくい[*3] 読みやすい
アンダーラインカーソル 対応 未対応 対応[*4] 対応
タッチカーソル機能 未対応 未対応 対応[*4] 対応
ダイアログボックスの表示 分かりにくい 分かりやすい 分かりやすい まぁまぁ分かりやすい
タッチカーソルによるマウスクリック 未対応 未対応 対応 未対応
画面リアルタイム表示 未対応 未対応 対応 未対応

[*1]仮名点字表示には別途EXTRA点訳エンジン、またはIbuki-Tenが必要です。

[*2]漢点字対応版と6点漢字対応版はそれぞれ別パッケージとなります。購入時指定がない場合は6点漢字対応版になります。

[*3]EXTRA Bridge for JAWS及びEXTRA点訳エンジンVer2以降のインストールにより対応可能です。

[*4]日本語表示を行っている場合は、カーソルは単語単位での移動・表示となります。EXTRA for Bridge for JAWS及びEXTRA点訳エンジンVer2以降をインストールすれば、日本語表示でも文字単位のカーソル移動表示が可能になります。


付録2:各機種におけるスクリーンリーダー対応状況

メーカー 機種 2000Reader PC-Talker JAWS WInVoice
KGS ブレイルノート20A/40A 対応 対応 未対応 対応
KGS ブレイルノート46C/D/X 対応 対応 対応 対応
KGS ブレイルメモ(BM16/24) 未対応 対応 対応 対応
日本テレソフト 清華 未対応 未対応 未対応 対応
フリーダムサイエンティフィック ナビゲーター 対応 未対応 未対応 対応
フリーダムサイエンティフィック パワーブレイル 対応 未対応 対応 対応
フリーダムサイエンティフィック ブレイルライト 対応[*1] 未対応 未対応 対応
アルバ ABTシリーズ 対応 未対応 未対応 対応
アルバ サテライト 対応 未対応 対応 対応
不明 TDC-32C 対応[*1] 未対応 未対応 対応

[*1]機能が限定されます。


付録3:参考URL


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Last update: 2004/06/13