スコアメーカー Ver2.1 体験版使用レポート

スコアメーカー Ver2.0 体験版使用レポート!!

 視覚障害者にとって、本などの活字が読めないのが悩みです。 ところが最近OCR技術の発達により、手書き文章などは読めないなどの制限はありますが、ある程度文字はOCRでテキストにして音声出力などして読めるようになりました。

 ところで音楽をやっている視覚障害者にとっては、 一般に出版されている楽譜が読めないのが悩みです。そこで楽譜OCRソフトを探していました。

 そんなとき、カワイ楽器製作所(以下カワイと略)から高性能な楽譜認識ソフト 「スコアメーカー」というソフトがあることを知りました。これはスキャナーで楽譜を読みとって、パソコン内臓の音源で再生したり、MIDIファイルやスコアメーカー専用の楽譜ファイル(SDF形式)として保存することができるそうです。MIDIファイルとしてセーブできれば、 例えばMIDIファイルを点字楽譜に変換できるソフト(現在のところあまり実用的に使えるものはないと思われます)を利用すれば、指記号など演奏方に関するものは無理としても、音高や音調、ある程度の強弱記号であれば一般の楽譜を点字に変換できるかも知れません。

 このソフトは低下が39,800円のソフトなのですが、 体験版があることを知りました。体験版はこちらから入手できます。

 そこで早速Niftyから入手してわれわれ視覚障害者が音声を頼りに使えないものか試してみることにしました。

 以下使用した機器です。

 パソコン:オリジナルPC-AT互換機
 OS:Windows98
 スキャナー:EPSON GT-9500
 Windows音声かソフト:PC-TALKER-VDM100W

 さてスコアメーカーをダウンしてインストール開始です。 インストールは音声を頼りに何とか行うことができました。

 さてつぎに起動です。スコアメーカーを起動するとオープニングの音楽が流れ、まずは音源の選択画面になりました。ここで上下矢印キーを押すと、システムにインストールされているMIDI音源のリストが読み上げられます。しかしただ上下矢印キーを押して目的の音源にカーソルを持っていきこの画面を閉じただけではどうも選択ができないようです。そこでこの音源のリストが出ているところで、ALT+上下いずれかのカーソルキーを押します。すると音声で「コンポボックスオープン」と聞こえます。これで音源の選択ができる状態になりました。上下矢印キーで目的の音源に会わせ、TABキーで「閉じるのプッシュボタン」に持っていきenterキーを押すと選択が完了しスコアメーカーが起動します。

 さていよいよスコアメーカーの操作開始です。ここでAltキーを押すと「新規認識」「楽譜の新規作成」などとメニューの内容を読み上げてくれました。
 スコアメーカーにはスキャナから画像を読み取り認識を行ったり、読み取った画像の汚れを取り除いたり回転させたりなどの編集ができる「認識モード」と、楽譜の作成や編集ができる「楽譜作成モード」という大きく分けて二つのモードがあります。この切替はALTキーを押し「ファイル」メニューを出し、上下矢印キーで「新規認識」を選びenterキーを押すと新規認識モードに、「楽譜を新規作成」を選びenterキーを押すと楽譜作成モードになります。

 では認識を行ってみましょう。スコアメーカーにはサンプルの画像ファイル付属していますので、まずはこの画像をOCRしてみます。

 まずはaltキーを押し「ファイル」メニューをだし、上下カーソルキーで「新規認識」を選択してenterキーを押します。ここでTABキーを押すことでいろいろな項目に移動できるのですが、実は単にTABキーを押してもなんの反応もありません!!実はTABキーで移動できるようにするためには、一端ダイアログをマウスでクリックしてやらないといけないのです。
 そこでVDM100W-PC-TALKERのマウスエミュレートを利用します。ALT+CTRLを押しながらhomeキーを押し「マウス」と聞こえるところに持っていきます。ここでテンキーの0を押してボタンを移動します。すると「▲のプッシュボタン」(「くろさんかくのプッシュボタン」)と聞こえるところがあると思います。(VDM100W-PC-TALKERの記号読みをONにしておかないと読みません。)ここに会わせてテンキーの7を、つまりマウスの左クリックをします。これでTABキーを押してみます。すると以下のように移動できます。


▼(くろぎゃくさんかく)のプッシュボタン 確認
参照のプッシュボタン 確認
スキャナのプッシュボタン 確認
画像のリストボックス 選択
画像表示のプッシュボタン 確認
開くのプッシュボタン 確認
保存のプッシュボタン 確認
登録数の更新のプッシュボタン 確認
認識画像登録リストのエディット 文字入力 1
認識画像登録リストのリストボックス 選択 001>
認識開始のプッシュボタン 確認
ヘルプのプッシュボタン 確認


 上記のように移動できます。少し項目が多いですが、簡単な認識の手順を説明します。

 まずTABキーで「画像のリストボックス」に移動します。デフォルトでスコアメーカーが注目しているフォルダ(C:\SCDEMO2\BMP)内の画像ファイルがこのリストにあると思います。ここにサンプル画像が入っています。もしここで上下矢印キーを押してもなにも言わない場合は、TABキーで「参照のプッシュボタン」に移動し、注目されているフォルダを変えてみてください。
 サンプルの画像は「CSIKOS1.BMP」「CSIKOS2.BMP」LANDMANN.BMP」の三つがあります。「画像のリストボックス」で上下矢印キーを押すことで確認できるかと思います。
 それではこのなかから適当なものを選び、認識させてみましょう。 ところでスコアメーカーでは認識を行う場合、画像を登録してやる必用があります。
 とりあえずここでは「LANDMANN.BMP」を認識させてみることにします。上下矢印キーで「LANDMANN.BMP」と聞こえるところに持っていきます。TABキーを押して「登録>>のプッシュボタン」に移動しenterキーを押します。これでLANDMANN.BMPが登録されました。
 それでは認識開始です。TABキーを押して「認識開始のプッシュボタン」に移動しenterキーを押します。すると「認識の実行のプッシュボタン」と聞こえると思います。ここでは通常段落の修正を行います。TABキーを押していくと「段落のなになに」というのがあると思います。今回はサンプル画像ですので修正の必用はありませんので「認識開始のプッシュボタン」でもう1どenterキーを押します。これで認識が実行されて楽譜データになります。

 以上で認識差行は終わりです。今回は体験版ですので保存はできませんが、MIDI対応機器やソフトウェアシンセサイザーをお持ちの方は再生してみてください。再生作業もプルダウンメニューから行うことができます。簡単にキー操作を書きますと、ALTキーを押し、左右矢印キーで「演奏」に移動するか「P」キーを押して「演奏」メニューに移動します。つぎに上下の矢印キーで「始める」を選ぶか、もう1ど「P」を押します。これで演奏開始です。止めるときは、まずALTキーを押し、左右の矢印キーで「演奏」メニューに移動または「P」押し、上下矢印キーで「止める」または「S」キーを押します。演奏がストップします。

 それでは続いてスキャナに乗せた楽譜を認識させる方法を説明します。
 まずスコアメーカーを起動した状態でALTキーを押しメニューを開きます。「ファイル」メニューから上下矢印キーで「新規認識」を選びenterキーを押します。先ほどサンプル画像を認識させましたので、それを保存するかどうか聞いてきますが、今回は体験版ですので保存の操作を行っても「体験版のため使用できません」と文句を言ってきますので保存はできません。そのままenterキーを押すことで新規認識モードになります。
 つぎに、CTRL+Wキーを押します。するとスキャナドライバが起動してきます。ここからはお使いのスキャナにより多少異なると思います。私のGT9500の場合は、スキャナの取り込みの設定画面になりました。ここで画像の種類などが選択できるのですが、スコアメーカーは白黒画像にしか対応していませんので「白黒ハーフトーン」を選択します。スキャナの解像度は認識させる楽譜にもよりますが、だいたい300〜400dpiていどがいいようです。
 設定が終わりましたらTABキーで「取り込みのプッシュボタン」に移動してenterキーを押します。スキャナが動き取り込みが開始されます。
 さて取り込みが終了すると、さきほどサンプルファイルからの認識で説明した、TABキーでいろいろ選択できる画面になります。スキャナからの認識の場合マウスでクリックしなくてもいいようです。なお場合によってはコアメーカーの新規認識モードに戻ることがあります。新規認識モードになってしまった場合は、サンプル画像からの認識でやったようにマウスクリックの操作をしてください。
 さて、ここでスキャナから読み取った画像をファイルに保存する必用があります。TABキーを押して「保存のプッシュボタン」に移動しodterキーを押します。ファイル名の入力ウインドウが開きますので、ファイル名を入力してenterキーを押します。拡張子は自動的に.BMPになります。この保存の操作を行うと、場合によってはキーボードからの操作が不能になることがあります。もし操作不能になった場合は、ALT+ESCキーでウインドウを切り換えてスコアメーカーをアクティブにすることで操作できるようになります。
 あとはさきほどのサンプル画像からの認識と同じです。サンプル画像のかわりに、今保存したBMPファイルを認識させるだけの違いですので、以下は省略します。

 最後に私が遭遇したエラーメッセージを書いておきます。

「登録されていない画像があります」
 画像の登録をしていないか、画像登録数のところで指定した数だけの画像が登録されていないのが現員です。画像登録のリストボックスや、登録数を確認してみてください。

「1番目の画像で五線が検出できませんでした」
 楽譜以外のものを認識させたか、スコアメーカーが楽譜として認識しなかったのが原因です。まず認識させた本が楽譜かどうか確認し、もし楽譜であれば乗せ方が逆になっていないか、また解像度が低ければ上げてみるなどをしてみてください。なお画像廻転機能などもありますのでお試しください。

 以上簡単ではありますが、スコアメーカーの操作法について書いてきました。実際に使ってみての感想ですが、認識させても「五線が検出できない」などと出たり、なんとか認識できても何の曲やら分からない?などということもありました。視覚障碍者の場合、本の天地も分からず、またどこのページから楽譜が始まっているのかも分かりません。また段落の修正もできるようですが、もとの楽譜が見えない視覚障碍者にとっては修正も困難です。
 これらのハードルを乗り越えないと、実用的に使えるとまでは行かないかもしれません。しかしながらなかなか期待のもてる、大変すばらしいソフトだと思いました。

 最後になりましたが、これを書くにあたりましてNiftyのMIDIベンダーフォーラムのカワイ楽器の方々及びユーザーの方々には、画面の説明やキーボードショートカットなどに関しまして多大なるご助言をいただきました。この場をお借りしてお礼申し上げます。
 また河合楽器の方には「今後障害者だけでなく、全ての人に使いやすい製品作りをしたい」という、ありがたいお言葉もいただきました。今後の改良に期待したいところです。


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