MIDI検定試験点字受験体験記

 平成12年1月23日に行われた、第2回MIDI検定試験に点字受験してきましたので、そのときのことをレポートします。



試験を受けるまで

 昨年の中頃だったと思うのですが、MIDI検定試験を受験したいと思い、事務局側に「点字受験を認めてもらえないか」という話しを持ちかけました。
 すると「問題の点訳や、解答の墨訳などをしてもらえるところを紹介してくれれば、点字による試験を実施しても良い」という解答をいただきました。

 そこで、現在既に点字試験を実施している情報処理試験などを中心に、どこで点訳作業をしているのかなどを調べ始めたのですが、私が思った以上に難航しました。
 というのは、試験問題の点訳というのは、問題が事前に受験者に漏れたりするとまずいなどの理由から、極秘情報となっているため、なかなかそのての情報が入らないのです。
 母校の盲学校の先生方にも問い合わせましたが「知らない」ということどした!!まあうちんとこのような田舎の盲学校に聞いた私がばかだったのかもしれませんけど!!

 そこで点字図書館に依頼し、見積もりをしてもらったのですが、かなりの高額になってしまい、検定事務局に「これは少し高すぎるのではないか。できればもっと安価に点訳していただけるところを紹介して欲しい」というようなことを言われました。

 いろいろ調べて分かったのですが、試験問題を専門に点訳してもらえるところなどは存在せず、例えば大学の受験の場合、受験者が行っている盲学校の先生方や、点訳ボランティアの方が試験当日の朝に大学に出向き、点訳作業をするというようなことをしているようです。

 そんなこんなで、とりあえずなんとかそこそこ情報は入手しまして、点訳していただけるところは見つかりました。
 しかし、楽譜の点訳をしていただけるところが見つからず、事務局から相談されましたので「そちらの会員のカモンミュージックさんの方で点字楽譜作成システムを制作中とのことなので、何か情報をお持ちかも知れませんよ…」などと話しましたところ、どうも問い合わせが行ったようで、同社のHPにこのことが掲載されてしまっているようです!!同社のHPによると、楽譜点訳までしていただいたようです。詳しくはこちらをご覧ください。

 試験問題についてはこれで解決しました。しかし試験勉強をするための書籍が、点字ではないという問題がありました。MIDI検定試験を実施している日本音楽電子事業協会から「MIDI検定試験ガイドブック」と言うものが発売されていますが、これは当然点字ではありませんので、私には読めません。この本をOCRでテキストファイルにしようかとも思いましたが、誤字が出ますし、図や表、楽譜などは読むことはできません。
 そこで検定事務局に「ガイドブックをテキストファイルで提供してもらえないか」と話したところ、著作者の了解を取っていただき、MOで提供していただくことができました。
 しかしこれはテキストファイルですので、図や表、楽譜は含まれていませんでした。
 そこで仕方がないので、地元の点訳ボランティアの方にお願いして、これらの部分を点訳していただき、なんとか勉強する環境を整えました。


受験当日

 当日「本当に点字で受験できるのだろうか?いきなり墨字の問題とか渡されたらどうしよう!!」などと余計なことを考えながら会場に向かいました。
 教室は、点字を打つ音で他の受験者に迷惑をかけるとまずいと思い、事前に事務局や会場と話し合って、別の教室で受けさせていただくことにしました。

 さて、実際の試験の方ですが、無事に点字受験ができました。しかし問題がなかったわけではありません。それは試験時間です。
 今回試験時間が晴眼者と同じ時間で受験したため、時間が全く足りなかったのです。通常点字による試験をする場合、試験時間を普通の人より園長されるようになっています。試験にもよりますが、だいたい1.3〜1.5倍ていどが多いようです。これは墨字に比べ、点字はどうしても読み書きの効率が悪くなるためです。
 実は1.5倍にしてもらえないかと1どだけ話したのですが、私自身が受験者ですので、試験の実施方法についてどこまで首を突っ込んでいいものか分からず、あまりこのことについて強く要望できなかったため、結果的に晴眼者と同じ時間になってしまいました。
 また1回目の試験で、ほとんどの人は試験半分ぐらいの時間で終わったと聞いていましたので「それならなんとかなるだろう」と甘く見ていたのも現員でした。

 しかし実際やってみると、問題は点字で32桁22行で37ページ+楽譜で、読むだけでも結構大変な量でした。特にイベントリストがたいへんで、点字では表が1行では収まりきらないので2行に別れてしまっているので、読みにくくなっています。これは点字の特性上仕方のないことかもしれません。
 また楽譜を見ながら同時にイベントリストを参照し、答えを選択肢から選ぶというのは以外と大変なものだと言うことが分かりました。
 結局ほとんど問題を考える暇すらなく、条件反射的に解答するはめになり、それでもイベントリスト3は全く手を付けることができませんでした。
 この件については試験後、事務局側に「今後点字受験は1.5倍を認めて欲しい」と要望したところ「次回からは配慮する」とのことでした。


受験を終えて

 いろいろありましたが、先日ホームページで合格者一覧を確認したところ、なんとか合格していたもようで、ほっとしています。もちろん問題は全部できませんでしたので、受験番号だけで名前は載っていません。満点合格なら名前が載ったのですが、惜しいことをした…って、時間があっても満点合格に慣れたかどうか知りませんけどね。まあ無理だろう。(笑)
 それよりなによりも、私自身今まで点字受験が認められていなかった試験に挑んだのは初めてでしたので、いろいろな意味で良い経験をさせていただいたと思っています。

 最後に、ガイドブックや問題の点訳をしてくださった方々、そして点字による試験を認めてくださった事務局の方々、その他いろいろ面で協力してくださった方々に感謝申し上げます。


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Last update: 2000/02/13