始めようDTM 第4回「MIDI音源購入のポイント」 九曜 弘次郎 Homepage=http://member.nifty.ne.jp/KUYO/ e-mail:kojiro.kuyo@nifty.ne.jp  みなさんこんにちは。  さて突然ですが、本題に入るまえに 「今月のDTM関連ニュース」 をお届けいたしま す。  まずは、ヤマハのソフトシンセサイザー「s-yxg100」 の体験版が公開されました。 90日間の使用期限付きで、 解除プログラムを購入することで永久使用が可能になり ます。  このS-YXG100では、 本題でご紹介するXGプラグインシステムが楽しめるようになっ ています。 特にメロディーと歌詞を入力すると歌を歌う、フォルマントシンギングボードはなかなかおもしろいです。 私も楽しませていただきました!!このソフトのダウ ンロード先は http://www.yamaha.co.jp/xg/s-synth/s-synth.html です。  つぎに、これはDTM関連のニュースというわけではないのですが、視覚障碍者にとっ て有益な情報だと思われますので紹介させてください。  レコンポーザの開発元でおなじみのカモン・ミュージックが、 点字楽譜作成システ ムの開発をするそうです。これについては http://www.comeon.co.jp/cm_world/news/tenji.htm をご覧ください。  このニュースリリースの内容だけでは、 どのようなシステムの開発を目指している のかなどといった明確な情報までは分からないのですが、 同社のレコンポーザで作成 された楽曲データを点字プリンターや点字データに出力するシステムを目指している ようです。また、 本システムの動作テストや点字楽譜のチェックなどが行える方を募 集しているとのことですので、 関心をお持ちの方や、協力しても良いという方は連絡 されてみてはいかがでしょうか。  どのようなものができあがるのか分かりませんが、大変楽しみですね。 せっかくで すから、 まずは我々が意見を出していき、よりよいシステムにしていくことが大切な のではないでしょうか?  以上今月のDTM関連ニュースでした。今後もDTM/音楽関連でみなさんのお役にたち そうな情報などを、 形式にとらわれずお届けしていきたいと思っておりますので宜し くお願いします。  それでは今回の本題に入りましょう。今回は、これからDTMを始めるために音源購入 をお考えの方のために、MIDI音源についてお話ししたいと思います。  どの音源を選ぶかは、DTMを始めるうえでもっとも重要だと思われます。なぜならそ れにより、音質はもちろんのこと、聞けるデータの数なども変わってくるからです。  ところで前回もお話ししましたとおり、DTMで使う音源は、別にMIDI対応のシンセサ イザーなら何でもいいわけですが、 世の中には数え切れないぐらいたくさんの機種が 存在しています。 よってそれら全部のなかから選ぶとなると、とても至難の技で、こ こに書ききれるものではありません。この連載はあくまでもこれからDTMを始めようと する方を対照としていますので、これから取り上げる音源も、主にDTM用として売られ ている音源を中心に書いていきたいと思っています。  さて、今回このアクセスレビューに、 主要なMIDI音源のカタログを掲載させていた だきました。これを見て分かる方は、購入の際の参考になさってください。  しかし…、カタログというのは専門用語の羅列で、 初めて読まれる方にはいったい なんのことやら分かりにくいものです。 そこで今回はそれらの用語のうち「これだけ は最低限知っておいた法が良いのではないか」 と思われるものを厳選して解説してい きたいと思います。 ----------------------------------------------------------------------------- ■ MIDI音源はどこで購入すればいいの? ■  ところで基本的なことですが、 MIDI音源はどこで購入するんでしょう!!少し大き めのパソコンショップに行くと、 MIDI音源のデモンストレーションをやっているとこ ろもあります。またデモをやっていなくても、 注文すれば購入できるところもありま す。 従ってほとんどのパソコンショップで購入可能です。ちなみに、アクセステクノ ロジーでも取り寄せていただけるそうですので、 詳しくはアクセステクノロジーにご 相談ください。  それからMIDI音源は楽器ですし、楽器メーカーから発売されていますので、 シンセ サイザーなどを扱っている楽器店でも購入できます。 当たり前といえば当たり前のこ となのですが、意外とMIDI音源はパソコンの周辺機器だからということで、 パソコン ショップで購入する方が多いようです。 ■ GM、GS、XGってなに? ■  さていよいよここからはカタログに出てくる用語の解説です。 カタログもそうです が、 パソコン通信やインターネットなどにアップロードされているMIDIデータ、市販 のMIDIデータにもよく「GM音源対応」とか「GS対応」などというのを見掛けます。 こ れはいったいなんなのでしょう?  まずはこれらのなかでもっとも基本となるのがGMですので、 まずはGMから解説しま す。もしGMなどの規格がなかったらどうなるかを考えてみます。  あなたは自分の音源を使ってMIDIデータを作りました。その曲は、 ギターとベース とキーボードとドラムを使った曲でした。 せっかく作ったのだから友達にも聞いても らいたいと思い、MIDI音源を持っている友達のいえに、 データの入ったディスクを持 って遊びに行きました。そして友達の音源を使って再生してみることにしました。  ところが…、 なんだか要すが変ですよ?確かに自分の作った曲のようなのですが、 ギターの音色で打ち込んだはずのパートがバイオリンに、 ベースがトロンボーンに、 キーボードがヘリコプターのような効果音に、 ドラムなんかバスドラムがカスタネッ トに、 スネアードラムがハイハットに………、とても聞けたものじゃありません!! でも確かに自分のいえの音源では、ちゃんとまともに、 しかもものすごくかっこいい 演奏をしていたはずなんですよ。 それがなぜ友達のいえの音源ではとんでもない演奏 になってしまったのでしょうか?  実はMIDIでは、各楽器の音色は、例えばピアノなら1番、 ギターなら2番という風 に、 番号で管理しているのです。そしてこの順番はMIDIの規格のなかでは特に決めら れていないわけです。従ってある音源では1番がピアノでも、 別のある音源では1番 がギターというようなことが起こりうるわけです。  しかし、自分でデータを作って、 自分の音源だけで楽しむ分にはこれでもかまわな いのですが、 パソコン通信やインターネットなどでMIDIデータをやり取りしようとす ると、自分の作ったデータは、 自分と同じ機種の音源を持っている人にしか聞いても らえないことになります。  これでは不便で仕方がありません。そこで各楽器メーカーが話し合いをして、 音色 の並び方に一定の法則を定めたわけです。 それで誕生したのが「GM規格」というもの だったわけです。GM規格では、128種類の音色が定められています。 また音色の並 び方の他、 各楽器パートの音量をコントロールする信号や、音程を連続的に変化させ るピッチベンドというものや、 音を震わせてビブラートと呼ばれる効果を出すモジュ レーションなど、 音楽を表現するうえで最小限必用な情報が盛り込まれています。GM 規格はメーカーをこえた規格のため、どこのメーカーの音源であっても、 GM規格に対 応していればほぼ同じように再生できるというわけです。  しかし同じピアノでも、メーカーによって音が少し違うように、 同じGM規格に対応 した音源であっても、 多少音質は違います。 しかし少なくともさきほどの例のよう に、全く異質の音色になってしまうというような自体は避けられます。  最近ではシンセサイザーのみならず、 ホームキーボードや電子オルガンにもこのGM 規格の音源を搭載したものが発売されるようになってきました。 カタログを見ている と「インターネットで入手したデータが聞ける」 などといううたい文句に宣伝してい るものがありますが、これはGM規格に対応していることを表しています。  さて、これでメーカー間での共通規格が決まったし、 めでたしめでたし!!となれ ば良かったのですが、 GM規格にもいくつかの問題を含んでいました。例えばGM規格で は、128種類の音色が定義されていると書きました。128種類もあれば、 確かに 一通りの楽器は網羅されています。 しかしピアノ一つの音色を採ってみても、世の中 のピアノ全てが同じ音をしているわけではありません。 グランドピアノと縦型ピアノ ではやはり音色は違うでしょうし、 曲によっても柔らかいピアノの音が最適な場合も あれば、堅めのピアノの音野方が最適な場合もあります。 そんなわけで128種類の 音色では足りなくなってきてしまったのです。  また音楽を作る場合、音を響かせたり、音に広がりを持たせたり、 ハードロックな どで用いられるギターの場合、 音を歪ませたりといった効果をかけることで、よりそ の楽器らしい音作りが可能になるわけです。 このような効果をかける機械のことを 「エフェクター」 といいます。ところがGM規格には、このエフェクターに関すること が定義されていなかったわけです。  そのほか、音色を自分で作り替えることを「エディット」といいますが、 この音色 エディットに関するきまりもないなど、GM規格にはいくつかの欠点がありました。  そこで登場したのが「GS」「XG」という規格なのです。  まずはGSですが、これは「ローランド」という会社が開発した規格です。 GSではさ きほどのGM規格をそのまま継承し、 さらに音色数を増やし、エフェクターや音色エデ ィットなどに関する規格も盛り込まれています。  GSの長所はなんといってもその普及率にあると思います。 現在パソコン通信などで 出回っているデータの大多数が、 GS規格のものです。またGS音源のユーザ数も、かな り多いものと思います。  さてつぎにXGですが、これは「ヤマハ」というメーカーが開発した規格です。 こち らもGS同様、 GM規格をベースとして、音色数夜エフェクターなど機能面での拡張を行 っています。  XGの特徴としては、 音色の並び方などに一定の法則を儲けて分類されているため、 その法則を覚えれば大変分かりやすく、 また機種間での互換性が高いことにありま す。またGSでは、 ディストーションのようなバリエーションエフェクトは規格にない のですが、XGにはこれがあったり、MIDI音源のA/D INPUTには外部の楽器やオーディオ 機器を接続することができるのですが、そのA/D INPUTのコントロールもMIDIで制御で き、 それをコントロールする規格も定められているなど、機能面や互換性の点ででか なりすぐれています。  さきほども書いたとおり、GSもXGも、GM規格をベースに拡張したものです。 従って どちらともGM規格を含んでいることになります。 つまり「GS規格」といえば、GM規格 にも対応していることになり、同じように「XG」 規格の音源もGM規格に対応している ことになります。 GM規格の利点をそのままに、各メーカーがそれぞれ自社音源用に拡 張したといえます。  ただし両者はGM規格を違ったかたちで拡張しているため、GSとXGの間には、 残念な がら互換性はありません。  とはいえ、これでは不便だということで、 GS音源であるローランドのSC-88PROシリ ーズに、 「XG SYSTEM ON」という、XG音源を初期化する信号をMIDIで送信してやる と、疑似XGモードに入り、あるていどXGデータが再生できるようです。  また同じく、XG音源であるヤマハのDTM音源に「GS RESET」 という信号を送ると、 TG300Bモードという、GS音源に近いモードにはいるようになっています。  ただしこれらは、他社の音源用のデータの再生を保証しているものではなく、 あく までもサービス的なものですので、 データによっては正しく再生されないものもあり ますし、またメーカーのサポート対象外ですので、 そのことを念頭において利用する 必用があります。 ■ 音色数 ■  その音源に内蔵されている音色の数です。 ものままですね!!当然音色数が多けれ ば多いほど、 たくさんの楽器の音が入っていますから、いろんな楽器の音が出せるこ とになります。  ところで、音源のカタログの音色数のところをみると「ノーマル音色」と 「ドラム 音色」 という風に分類されています。ノーマル音色というのは、ピアノやギター、ベ ース、バイオリン、トランペットなどといった、 いわゆる音程のある楽器のことをさ します。 シンセサイザーでは、例えばピアノの音色にすると、普通のピアノと同じよ うな感じで、「鍵盤ごとにピアノの音程が割り当てられます。「ド」 の鍵盤を弾けば 「ド」 の音が「ソ」の鍵盤を弾けば「ソ」の音がなるという感じですね。「そんなの 当たり前じゃないか!!」という声も聞こえてきそうですが………。 つまりノーマル 音色の場合は、 単純に「いくつの楽器の音が集録されているか」ということになりま す。  一方、ドラム音色とは、太鼓やカスタネット、シンバル、タンブリンなど、 いわゆ る 「打楽器」と呼ばれる楽器の種類をさします。ドラム音色の場合は、たいていリズ ムを刻むものですので、音程を割り当てないのが普通です。カスタネットで 「ドレミ ファソラシド」 などと、メロディーを演奏したりはしませんので、鍵盤ごとに音程を 割り当てても、あまり意味がないといえます。  そこでドラム音色の場合には、「この鍵盤にはバスドラム」 「この鍵盤にはタンブ リン」 といったように、各鍵盤にはそれぞれ違った種類の打楽器を割り当てます。そ してそれら一つの固まりをセットと考えます。  ところで、ロックにはロックに適したドラム音色が、 ジャズにはジャズに適したド ラム音色があります。 シンセサイザーではそれらをおおよそ曲のジャンルごとに「ロ ック用のドラムセット」とか「ジャズ用のドラムセット」 という風に分類するわけで す。それら一つのドラムセットを「1ドラムセット」とします。  音源のカタログのドラム音色数のところに書いてある数字は、 そのようなドラムセ ットがいくつ入っているかという数字で 「30ドラムセット」というような表現がさ れているわけです。ドラムセットの音色数のところに「30ドラムセット」 と書かれ ているのを見て 「30種類の打楽器が入っている」というような勘違いをされないよ う注意してください。 ■ 最大同時発音数 ■  その音源が、同時に出すことのできるもっとも最大の数です。 最大同時発音数のこ とを 「ポリフォニック」ということもあり、同時発音数が32音の音源のことを、略 して32音ポリなどと呼ぶこともあります。  さてその意味ですが、例えば、最大同時発音数が8音の音源があったとします。 こ の音源1だいで曲を打ち込むことにします。  まず、1トラック目にベースを打ち込みます。ベースは通常単音ですから、 ここで 1音使います。  つぎに2トラック目、ここにはピアノを入れます。 ピアノは3和音として入れるこ とにします。 このトラックで3和音、さきほどのベーストラックと合わせて4音使い ました。  つぎに3トラック目、ここにはギターを入れることにします。そうですね〜、 ギタ ーも3和音にしましょうか。ここでも3音、 さきほどのベース1音吐とピアノ3音吐 合わせて合計7音になりました。  さてつぎに4トラック目、ここにはストリングス(弦楽器)を入れるとします。 こ こでも3和音使いたいのですが………、 さきほどで既に7音使っています。この音源 の同時発音数は8音ですので、 あと1音しか入れられないことになってしまいます。 もし入れた場合は、ならない音が出てきます。  このように同時発音数が少ないと、 たくさんの楽器の演奏が入れられないといった 不都合が出てきてしまいます。 逆に言えば、同時発音数が多いとそれだけたくさんの 楽器の音が重ねられるので、ダイナミックな演奏が可能になるといえます。  ただ一昔前の音源では、同時発音数が少ないものが多かったのですが、 今回本誌に 掲載させていただいた音源の同時発音数は、 ヤマハのMU128は128音、そのほかは64音 となっています。64音もあれば、 よほどの大オーケストラの曲を打ち込めばどうか知 りませんが、 たいていはこれだけあれば充分ですので、あまり気にする必用はないで しょう。 ■ パート数 ■  簡単に言って、何種類の楽器が同時に演奏可能かということです。 例えばみなさん 合唱する場合ですけど、 ソプラノ・アルト・テノール・バスと言う感じにわけます ね。このソプラノならソプラノ一つが1パートとなり、 さきほどの例では4パートと なります。 ですから16パートの音源があったら、16人分の演奏が同時にできる音源 と思ってください。  本誌掲載の音源ですと、MU128は64パート、そのほかは32パートとなっています。た だ私自身も詳しく調べたわけではないので、 もしかするとこれは間違った情報化もし れませんが、 MU128の64パートの機能もも、実は少し中途半端な機能のようで、MU128 付属のドライバ(Windows用)を使用することで64パートを実現しているので、このド ライバを使用しないと、64パート が実現できないようです。 つまりDOSなどから使う と、32パートの音源としてしか使えないようです。 -----------------------------------------------------------------------------  とまあ、他にもいろいろと用語はあるわけですが、 ここでそれら全てを書くのはと てもできそうもありませんし、 なにより私自身もこのへんで疲れてきてしまいまし た!!  でもやはりこれだけ読んでも「じゃあ、結局なにを買えばいいんだ!」 と思ってお られる方もおいでだと思います。 音というのは人それぞれ好がありますから「どれが いい」などと一言で言えないのが難しいところです。1番簡単な方法としては、 主流 のDTM音源を取り出して解説すればいいのですが、そうなると私の好みをみなさんに押 しつけることにもなりかねないということと、 なによりみなさんができるだけ広い視 野で音源を選んでいただきたいということから、 カタログの用語の解説をさせていた だいた次第です。  しかしそれでも「やっぱり分からん!!」という方のために、 ここで思い切って私 の意見を書かせていただきたいと思います。 ただしこれは私個人の意見ですので、で きるだけ実際にカタログを参考にされるなり、 店などで音を聞いてみられるなりして 選ばれることをお勧めします。 以下はあくまで参考まで私の意見を書くにすぎないと 言うことをあらかじめご了承ください。それではいきます!!  まず「自分ではデータは作らない、 パソコン通信などにアップされているデータを 聞くだけ」という方、また音源はDTMでのみ使用するという方、このような方にはロー ランドの音源をお勧めします。 さきほども書いたように、パソコン通信で出回ってい るデータの大多数がローランドのGS規格のものです。 ですからたくさんの対応データ が出回っています。 ヤマハの音源のTG300BモードでもGS対応データは聞けないことは ありませんが、やはり本物のGS音源と聞き比べると違って聞こえます。 SC-88Proシリ ーズの音色数は、 ノーマル音色1117音色、 42ドラムセット、 同時発音数64 音、パート数は32パートとなっています。  さて、ローランドの音源のなかにもいろいろありますが、今回本誌には 「SC-88Pro」「SK-88Pro」「SC-88STPro」 という製品を掲載させていただきました。 まず音源としてのスペックは三つともかわりありません。1番基本となるのが SC-88Pro」です。  そして「SK-88Pro」は、SC-88Proに、37鍵の鍵盤を付けたものです。 通常DTM 用の音源には鍵盤がないのですが、 SK-88Proは例外です。鍵盤があるということは、 データ製作などをされるさいに、 鍵盤で音を出して音色を確認することもできます し、 37鍵なのであまり実用的ではないものの、この鍵盤で演奏してデータを入れるの も可能です。少しでもキーボードが弾ける人にとっては、 この鍵盤はなかなか便利だ と思います。  それから「SC-88STPro」は、SC-88Proから、液晶ディスプレイを省き、 パネル上の スイッチも最小限西、 値段を抑えたもので、コストパフォーマンスにすぐれた音源と なっています。 ボタンがなかったら操作困るのではないかと心配なさる方もおられる かと思いますが、 通常はパソコン側からMIDI信号によって音源をコントロールするた め、あまりパネル上のボタンを操作することはないと思います。 それに全盲の方には 液晶ディスプレイは見えませんから、 余計なものがない分価格が安いのでいいのでは ないでしょうか。  ローランドの音源に関しては以上のような感じです。  さてつぎに、音源をDTM以外の音楽に使用されたい方や、ちょっと変わったことをし てみたい方には、ヤマハの音源が良いのではないでしょうか。  ヤマハの音源の魅力は、まずA/D INPUTにあると思います。これは外部の楽器やオー ディオ機器等を接続するための端子です。ヤマハのDTM音源では、ここに接続した機器 にも内蔵のエフェクターがかけられます。これを利用すると、 この端子にエレキギタ ーなどを接続して、 音源のディストーションエフェクタをかけることもできます。こ れでMIDI音源でギター以外のパートを入れておいて、 これを流しながらギターを演奏 することで、 MIDI音源の演奏をバックに、ギターを弾けば、MIDI音源とギターとが競 演することが可能です。エフェクターがわりにも使えると言うことですね。 一人でバ ンドの練習をするのもよし、 一人でバンド演奏の醍醐味を味ワウもよし、楽器ができ る人にとっては結構おもしろいのではないでしょうか。  また、肝腎の音源としての機能も大変充実しています。ヤマハのDTM音源として最高 機種であるMU128は、 音色数がノーマル音色で1342音、 47ドラムセットの合計1389音 色、同時発音数も128音、64パート演奏が可能と、かなり充実しています。またヤマハ のMU100以上の機種には、 XG プラグインボードという、音源の機能を拡張するボード が入れられるようになっています。具体的に現在発売されているボードとしては、 管 楽器などの演奏に効果を発揮するVL音源ボード「PLG100-VL」や、80年代前半にヤマ ハから発売され、 音楽の流行をも作ったFM音源を搭載シンセサイザー 「DX7」の音色 を、そのまま依嘱したFM音源ボード「PLG100-DX」といったものから、メロディーや歌 詞を入力することで合成音声で歌を歌うフォル万としんぎんぐぼーど「PLG100-SG」、 歌に鍵盤で弾いた音でハーモニーが付けられるエフェクトボード「PLG100-VH」などと いったものがります。  ただ、価格も定価10万円近くと少し高めです。「これじゃちょっと高すぎる」 と 思われる方は、MU100シリーズがお勧めです。音色数が、ノーマル音色1267、46ドラム セットとMU128に比較するとやや少な目ですが、 それでもかなり多いと思います。 MU100シリーズには「MU'100」「MU100R」「MU100B」の3機種があります。相違点を書 きますと、まずはサイズ、要するに本体の大きさが違います。 MU100Rはフルラックサ イズ、 MU100/100Bはハーフラックサイズです。ここでいうラックというのは、音源を 収納する箱がありまして、その箱の大きさ一つ文化半分かということです。 MU100Rは フルラックサイズ、 要するにそのラック一つにちょうど収まる大きさ、MU100/100Bは ハーフラックサイズ、つまり半分の大きさということになります。 ちなみにさきほど ご紹介したMU128は2Uラックサイズで、二つ分の大きさです。  そのほかにはMU100Rには「ロータリーエンコーダー」という、 音色をエディットす るのに便利なスイッチが付いているのですが、MU100/100Bにはこれがありません。  またXGプラグインボードも、MU100Rには2枚装着できますが、 MU100/100Bには1枚 しか装着できません。ちなみにMU128には3枚装着できます。  つぎにMU100とMU100Bの違いですが、MU100Bは液晶ディスプレイがなく、またパネル 上のスイッチも最小限になっています。  つまりMU100Rはライブなどステージでも使えるモデル、MU100やMU100Bは DTM用 途開発されたモデルのようです。  あと本誌にはMU90シリーズのカタログも掲載させていただいていますが、 こちらは 音色数がMU100などに比べて半分近くになっています。またXGプラグインシステムのボ ードも装着できません。よってこれから購入される方は、MU100シリーズ以上のものに しておかれることをお勧めします。  MU90にも「MU90」「MU90R」「MU90B」の三つがあります。これらの意味はMU100で書 いたのとほぼ同じです。なおMU90Rには、ロータリーエンコーダーはなかったと思いま す。あとMU90Bは単品では販売されておらず、ソフトとのバンドルモデルのみになるよ うです。  このようにヤマハの音源は大変高機能なのですが、 欠点を上げさせていただくな ら、 少し音作りなどが難しいかなという気がします。そのかわりに、いろいろな音色 をコントロールするパラメータがあるので、自由度があるともいえます。  つぎに、今回本誌には掲載していませんが、コルグという会社からは「NS5R」 とい う機種も出ています。 1177音色を搭載しており、GSとXGの両方に対応しているのが売 りとのことです。  またつい先日、コルグから「NX5R」という新製品が発表になりました。 AIスクエア ーシンセシス & ヤマハ純正 XGボード搭載により、これ1台でGMとXGフォーマットに対 応し、 さらにGS音色配列も搭載しております。最大96ポリ、48マルチティンバー、XG 音源部を本体パネルで呼び出し可能とのことです。音色数は、なんと2365音色、 52ド ラムキット、 AI 2系統+XG 3系統エフェクト搭載となっています。なかなかすばらし いスペックになっていると思います。ただ大変申し訳ないのですが、 この記事の執筆 中に突如入手した情報のため、 私もあまり詳しい情報が入手できていないので、詳細 な情報をお伝えできないのが残念です。  ところで、ローランドの場合は、 型番のまえに 「ミュージロー」 ヤマハの場合は 「Hello!!music」 とついたものがありますが、 これらはソフトが付属したモデルで す。 お店に行くと店員さんがソフトとのセットの方がお得だと勧めるかもしれません が、 残念ながらこれらの付属ソフトは視覚障碍者には利用不可能と思われますので、 これらはあまりお勧めしません。  以上私の考えを述べさせていただきました。 どこかのお店の店員さんのようになっ てしまいましたが(笑)あまりこれにとらわれず、参考としてご活用ください。  なにより音源は、自分のこのみの音が出るものが1番です。 是非店頭などで聞いて 確かめられることをお勧めいたします。  さて、 今回はいかがでしたでしょうか。 かなり曖昧な記事になってしまいました が、是非みなさんも自分にあった音源を見つけられることをお祈りします。  ではまた次回をお楽しみに!!